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ドラえもん のび太と鉄人兵団
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<長編ドラえもん>はリメイクされてるものもありますが、今年は<鉄人兵団>がリメイクされるらしい。TVでの告知を見て少なからず複雑な気分に…。長編の中で一番好きな話なのです。(*10作目までしか映画で見たことありません。<鉄人兵団>は7作目。)
ほかのリメイク作品もそうだけど、グッズ販売のこと等を考えてキャラクターが変ったり追加されたり。すごいなぁ。時代を考えるとある程度は仕方ないのだろうな。基本的にはリメイクされることで注目されるなら嬉しいです。

私が鉄人兵団を見たのは小学生の頃。私の地元には市内に映画館がなくて、文化会館でときどき映画上映していました。実家は文化会館近くにあって商店をしていたので、<ドラえもん>等の子供向け映画をやるときは店頭にポスターを貼り出す代わりに映画の無料券をもらえて、それで観にいっていました。





映画を見た感想は面白かった(感動した)のはもちろんなのだけど、<わたし わたしが不思議>と歌うエンディング曲に包まれて、本当に不思議な気分になったのを覚えています。この歌のタイトルはそのまま<わたしが不思議>。(歌詞は武田鉄矢さんによるもの。)そのときあまり歌詞が聞き取れなかったのだけど、サビ部分の<わたし わたしが不思議>はばっちり聞こえ、映画を見た流れから主人公・リルルの気持ちのようでした。
ドラえもんは泣いたり笑ったりの感情も備えていれば生命までありそうなロボットなのだけど、リルルは感情表現が乏しいロボットという設定。のび太たちと出会って徐々に優しい感情が生まれ「この気持ちはどこから来るの?」という、まさに<わたしが不思議>に繋がるかんじがしました。

言葉としてもちょっと不思議で「"私、私が不思議"って変だなぁ」とずっともやもや心に残っていたのですが…

なんとなくそれに自分なりの解釈を得られたのは10年ぐらい経った頃、早稲田で見たアードマンの映画がきっかけでした。確か<ウォレスとグルミット チーズ・ホリデー>が目当てだったのだけど、ほかにアードマンで制作された短編クレイアニメーションがいくつか上映されて、その中のひとつに<アイデンティティ>という作品がありました。よくは覚えてないのだけど、白い主人公がいて、白い迷路の中でずっと「Who am I ?」ともがき、自問しながらウロチョロするだけの作品。

わたしは誰?何者?
ふと、…これって「わたし、わたしが不思議」と似てる!と思ったのでした。
ロボットのリルルが自分というものに気がついた発見と、私はどこから来たのか?という起源だったり、自分で自分が分からず葛藤する気持ち。これ<わたし わたしが不思議>なんじゃないかな?アイデンティティを模索しているのかもしれない。

映画を観ている私のような子供にとってみれば、そのうちリルルじゃなくて自分が<わたし わたしが不思議>を体感することになって、映画が終わったずっと先までこのフレーズと不思議な気持ちは心の片隅に残るのでした。

ちょっと大人になると「わたしが分からない」となるところを、<わたしが不思議>って言葉はそれに比べてちょっとポジティブですよね。
by orangewords | 2011-03-06 23:59 | ぼそっと
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