手仕事の日本/柳宗悦著
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<牧禎舎>で藍染するにあたり藍染の本を読んでいたら、この本のことがちらっと載っていて、そういえば駒場の<日本民藝館>には行ったことがあっても本は読んだことなかったなぁと思い手に取りました。
<牧禎舎>でお話をうかがいつつ、手工芸が廃れて行く要因として昔ながらの職人の世界の習慣である伝承の方法が挙げられると思いました。気軽に覚えることが出来ないのです。もちろん伝統工芸師のもとで伝統的に厳かな修業を積むのは良いことで大事なことです。でもそれとは別に牧禎舎みたく広く次の世代に親しんでもらい、未来に残す役割も必要だと思いました。

この本の中でも柳宗悦は似たようなことを語っていました。東北・南部の南部紫(なんぶむらさき)について語った部分で「染めが難しいために、技は古来秘伝となって残されます。しかしこういう風習を破って染方を広く世に知らせる方が正しい道ではないでしょうか。(p89より抜粋)」
正しい道というのは強い言い方にも思えるけれど、そんな役割の場所や人もいたほうが良いよね、と思います。

なかなか辛辣な言い回しの本で、中には主観的なものもあるけれど、それこそが柳宗悦さんのいう<民藝>なのだ。blogを読んでるみたいな感覚にもなる。

p233の中に「他力」について語る部分にもこの民藝思想がよく表れている。自然から出たもの、風土や用途から出た、そんな自然から出た「用と合わさった美」。
またこの本は、おそらく小中学生向けに書かれた未来へ日本特有の正直な民藝を残して発展させていくための指南書なのだけど、柳宗悦が大正時代から20年かけて全国を旅して本にする間の月日と、だめ押しの戦争によって、民藝がいくつも廃れてしまい<戦前の日本の民藝の記録>という意味合いを持ってしまったのでした。
民藝運動の活動を思うと、もっと大きな影響を及ぼしていても良いと思うのだけど、戦争と近代化というのはこうも厚く広い壁だったのだなぁ。中にはその後復活した手工芸もあって、民藝運動の甲斐はあったと思えます。

ちなみに宗悦さんは「正藍染」という言葉を使っていました。基本関東の方だからかな?

*画像は水城公園(埼玉県行田市)の古代蓮のようす。写真は数日前のものなので、今頃にはいくつか開花した蓮があるかも。今年は見頃がやや早めみたいです。
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by orangewords | 2013-06-28 22:47 | アート雑記 | Comments(0)
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