利根山光人展ーバイタリティーを求めてー
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ちょっと前のことになりますが<利根山光人展ーバイタリティーを求めてー>を観に町田市立国際版画美術館へ行ってきました。この展示で初めて知って、作品も初めて観ました。コピーは<反骨の画家>。

展示は時系列になっていて、最初のコーナーはダム建設現場や炭坑の作業現場などの様子を男らしく汗臭く描いたリトグラフから始まりました。作業現場の骨組みやクレーンなどの力強い線がまた男くさい。でもそんな中に子供向けに描いたかわいい絵本みたいな絵もありました。子供が生まれたのかな?画家の絵は時に日記にもなりますよね。

その後は時代の流れもあるのか、プリミティブに没頭していきます。主にマヤなどメキシコの古代文明です。遺跡の壁面の石の彫刻などを拓本を取って、それを出来るだけそのまま版画の題材にしたりして、よっぽど衝撃を受けたのでしょうね。
やがてそれは木版によってもっと形を削ぎ落とされて、図のようなものになり、まるで型染めのような絵柄と色になります。民族的な着物や織物に描かれた模様のようです。土っぽい。木版では型押し(空押し?)や肉厚感みたいなものを重視してるかんじがしました。
木版のあとは銅版画もいくつかあり、メキシコの(マヤではなかったような)少数民族のお祭りのお面をアクアチントで描いてました。目が四つ、体はシマシマ。

土着的なものに興味が行くならやはり通るだろう道・日本の祭りもきっちりなぞって行きます。それは現在から観る奇祭とは少し違って、岩手の鹿踊りのお面など、おそらく当時衰退していっていた民藝の要素にも着眼点があるようにかんじました。

ここまでずっと黒一色か、勢いのある色使いが多かったのだけど、急にひとつ<オルメカの謎>という静かで神秘的でキレイな色使いの作品があって、とても神聖な絵でした。

その後にあった<コロナ>のシリーズは、ちょっと暗めの色彩の中にうごめくものがあって、未知なるものの不気味さも感じて良かったです。

その後はドンキホーテをモチーフにした作品が続きましたが、その前段階にあたる闘牛の絵がこれまた筋肉と汗の男くささがインパクトもあって格好良かったです。
晩年の原爆投下を題材にした作品をみて、改めて私の時代ではこれと同じくらい原発事故と原発と向き合う宿命にあるんだな、と思いました。


個展で、時系列の展示って、ひとりの人生をなぞっていくもので、その人の生きた時代とその中で心に留めたものを一緒に感じることが出来るって、面白いですよね。もうちょっと時代背景に詳しくなりたいなぁ。
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by orangewords | 2013-08-24 23:59 | アート雑記 | Comments(0)
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